理想的なすみか探しが難しい

法事があって、九州の田舎にある祖父宅に来ている。毎日とても静か。植物の生命力が地元のそれとは全然違う。同じ木でも、地元のそれの方がもっとおとなしくこじんまりして見える。太陽輝く南部の自然はこんなものかと感じさせられて、ただ近所を散歩しているだけでも見飽きない。

田舎なので、車社会ではあるけれど、大きな通りからはひっこんだ場所に家があるので、車がひっきりなしに通ってうるさいということもない。家の一軒一軒の敷地がやたら広く、互いに離れているので、近所の生活音もほとんど聞こえない。

人口の音は少ないけれど自然の音が多いから、静かすぎもせずちょうどよく集中できるような場所だと思う。それだけ考えれば、将来こっちに引っ越してくるのもありかなと思ったりもするが、ここにずっといると野心というか、もっと頑張ってもっといい生活を手に入れよう、みたいな気持ちもなくなりそうな気がする。生活にかかるお金が少なくて済むので、そこまで頑張らなくても生きていけるのかもしれない。よくも悪くも。

都会、とまではいかなくても、それなりに栄えた町に住んでいると、やはり刺激は多い。そういうものをうまく使えばモチベーションは保てるし、物事への興味をもったりその対象に比較的簡単にアクセスしたり、ということもできる。

大都会に住みたいという気持ちはまったくないし、大都会暮らしが向いていないことも分かったので、都会は候補から外せるものの、理想の居住地を見つけるのは本当に難しいと思う。適度に街中にアクセスがいい方が望ましいし、けれど静けさも魅力的で、とはいえ車を持つ気がないのである程度の足も必要で、お金はあまりない。いろいろな場所を試してみてひとつに決める、というのができたらいいけれど、それも厳しいし。

とりあえず実家から出たいという気持ちがあるのは確かで、それが第一目標と考えると、やはり最初はある程度不便で自分の理想にマッチしないところでも、費用の低さを優先して住まなければならないのかもしれない。おそらくフリーランスで働くことになるので、賃貸の審査に通りにくそうだと思うと悩ましい。そう思うとやはりいずれは祖父の家に住むのが一番現実的だけれど、手放しで喜べる環境でもないので、どうしてもいつかはどこか他の場所に暮らすことになるのかもしれない。そんなことを考えていたって、まだ仕事がない以上考えても仕方がない。まずは仕事を取って貯金できるようにがんばろう。